小林一茶の有名な俳句で古典に親しもう!愛媛では小学生が俳句を詠む
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愛媛県松山市は俳句の街として有名です。子どもも小学校で冬や春の俳句を作っていました。私自身もそうですが、最近は「日本語を大切にしたい」と考える人が増えているように感じます。今回は、そんな方へおすすめの小林一茶の俳句について紹介させていただいています。俳句といっても決して堅苦しくなく、むしろこの上なく親しみやすいのが小林一茶です。もう一度読めば、きっとあなたもファンになると思います。小学生でも理解しやすい点も魅力です。
小林一茶の魅力
「名月を取てくれろと泣く子哉」(めいげつをとってくれろとなくこかな)
一茶の俳句の魅力は、何といっても分かりやすさと親しみやすさにあります。江戸時代の俳人でありながら、現代の私達が読んでも分かりやすく、すんなりと心に入ってきます。数ある古典の中でも、このような作品は珍しいのではないでしょうか。
また一茶は子どもやすずめ、猫、カエルなど、小さくて弱いものを愛し、いたわる俳句を多く作っています。同時に、故郷を思う寂しさや自らの貧しさを俳句にするなど、庶民的で人間味溢れた俳句が多いのが特徴です。俳句を読んでいると、時には苦しい胸の内をユーモアで俳句にしたためたこともあったのではないかと感じます。
そのような一茶の俳句だからこそ、私達は共感し、感動できるのでしょう。
小林一茶の生涯
1763年に信濃北部の農家に生まれました。本名は小林弥太郎といいます。生活はあまり楽ではなかったようです。3歳の時に母を亡くし、その後父が再婚した継母との折り合いが悪く、15歳の時に江戸へ奉公に出されます。そして奉公先を転々とし貧しい生活を送りながら、俳句に親しむようになります。
初婚は52歳とかなりの晩婚でした。生涯で3度結婚し、子どもを5人授かっていますが、最後の妻との間に生まれた娘以外は、いずれも幼い時に亡くなっています。このように見ると、決して家庭的に幸せといえる環境ではなかったことが伺えます。一茶は1827年に65歳で生涯を終えましたが、約二万句という非常に多くの俳句を残しています。松尾芭蕉の残した俳句が約千句であることと比べても、いかに多いかが分かりますね。
小林一茶の俳句
ここでは小林一茶の代表的な俳句の中から選んだ12の句を紹介させていただいています。
「名月を取てくれろと泣く子哉」
(めいげつをとってくれろとなくこかな)
名月を取ってくれとわが子が泣いてねだる。子どもがかわいくてしょうがない様子が伝わってくる。
「すずめの子そこのけそこのけお馬が通る」
(すずめのこそこのけそこのけおうまがとおる)
道に遊んでいるすずめの子よ。そこを早くのけよ。お馬が通るから危ない。
「やせ蛙負けるな一茶これにあり」
(やせがえるまけるないっさこれにあり)
かわず合戦(カエルの雄同士が一匹の雌を巡ってお互いを押しのけあう)の様子を見て、弱いやせ蛙を応援して作った俳句
「我と来て遊べや親のない雀」
(われときてあそべやおやのないすずめ)
親のない子すずめよ。私も親のないさびしさはお前と同じだ。こっちへ来て、さあ、一緒に遊ぼうじゃないか。
「めでたさも中位なりおらが春」
(めでたさもちゅうくらいなりおらがはる)
めでたい新年を迎えた。自分にとっては上々吉のめでたさとはいえないが、まずまず中くらいといったところだ。
「大の字に寝て涼しさよ寂しさよ」
(だいのじにねてすずしさよさびしさよ)
我が家の座敷で大の字に寝そべると、折から涼しい風が吹いてきて、とても気持ちが良い。しかし、故郷では誰ひとり暖かく迎えてくれる人もなく、一人ぼっちとなった自分の寂しさがこみあげてくる。
「梅が香やどなたが来ても欠け茶碗」
(うめがかやどなたがきてもかけちゃわん)
我が家の庭にも春が来て梅の香りが漂っている。しかし、こんな貧乏暮らしでは誰が来ても欠け茶碗しか出すことができない。
「やれ打つなはえが手をする足をする」
(やれうつなはえがてをするあしをする)
はえが手足を合わせて命乞いをしている。かわいそうだから打たないでやっておくれ。
「初夢に古郷を見て涙かな」
(はつゆめにふるさとをみてなみだかな)
旅の途中、新年の初夢にふるさとを見て、懐かしくて涙が出た。
「夕桜家ある人はとく帰る」
(ゆうざくらいえあるひとはとくかえる)
夕方になって、帰る家のある人は帰り始めた、うらやましくて、寂しい気持ちだ。
「雪とけて村いっぱいの子どもかな」
(ゆきとけてむらいっぱいのこどもかな)
春になり、雪がとけて外に出られるようになると、家々から子どもたちがいっせいに飛び出してきて、ゆかいに遊び回っている。
「これがまあ終のすみかか雪五尺」
(これがまあついのすみかかゆきごしゃく)
五尺も降り積もった雪にうずもれたこのみすぼらしい家が、自分の生涯を終える最後の住まいとなるのか。何とわびしいことか。
小林一茶に関する本・かるた
小林一茶についてもっと詳しく知りたい方へ、おすすめの本・かるたのご案内です。
『一茶句集(角川ソフィア文庫)』玉城司訳注
『おらが春 板画春』著者:森貘郎、矢羽勝幸
『ひねくれ一茶』著者:田辺聖子
『一茶』著者:藤沢周平
『蛙となれよ冷やし瓜』著者:マシュー・ゴラブ 翻訳:脇 明子
一茶記念館
長野県にある「一茶記念館」のホームページはこちらです。→http://www.issakinenkan.com/
まとめ
いかがでしたか?昔学校で習った俳句も、改めて読んでみると純粋に感動したり楽しんだりできるものではないでしょうか。このような分かりやすい古典で、お子さんと日本文化に親しんでみるのも良いですね。