隠されたヒミツにビックリ!『ぐりとぐら』のテクニックで、子どもの感性を養おう!
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「ぼくらの なまえは ぐりと ぐら」の一文でお馴染みの、『ぐりとぐら』。
中川李枝子さんと大村百合子さんのご姉妹が1963年に発表したこの作品。日本で2番目に売れている絵本。
パパママが小さなころ……もしかすると、おじいちゃんおばあちゃんも小さなころに読んだことがあるというご家族もあるかと思います。
そんな多くの人から愛されている『ぐりとぐら』、じつはとても巧妙に描かれた作品であるとご存知ですか?
今回はその巧妙な描き方をご紹介させていただきます!
お手元にあるママやパパは、ぜひ今一度手に取って、お子さんと見てみてくださいね!
物語は表紙から始まっている!
読んだことがない、という方でも、この表紙を見たことがあるのではないでしょうか?
こちらが『ぐりとぐら』最初のシリーズの表紙です。
じつはこの表紙から、もう物語は始まっているんですよ。
読んだことがある方だと、ピンとくるかもしれません。
最初のシリーズでぐりとぐらは、森の奥へ木の実を拾いに向かいます。
表紙はその道中。
セリフがないからこそ、親子で「どんなお話をしているのかな?」と想像(創造)することができます。
ぐりとぐらの向きに注目してみよう!
このふたつの画像は本作から抜粋したものですが、ここで注目していただきたいのはぐりとぐらの向いている方向。
何か気づきませんか?
それは……きちんと向かっている方向を向いているということ!
先ほど、「すでに物語が始まっている」とご紹介した表紙と一枚目の画像は、森の奥に向かっているところ。
つまり、読者が読み進めていく右側を向いています。
反対に、森の奥で見つけた大きな卵を家に持ち帰ろうとしているときには……
家がある、来た道の方向、つまり左側を向いているのです。
たとえば私たちが同じように描くとしたら、よっぽどでなければ「向かっているのは奥だから右向き! 帰るのは反対だから左向き!」なんてなかなか思いつかないですよね。
描かれていない部分に“なに”を読み取るか?
少し見にくいですが、こちらは作中でかすてらが焼けるのを待っている場面です。
見開きいっぱいを使って、ぐりとぐら、そして森に棲む他の動物たちがちらほら集まってきています。
何かに気づきませんか?
たとえば大きな画用紙を渡され、「森に棲む動物を描いてみて!」と言われたら……きっと多くの人が画用紙ができるだけ埋まるくらいの動物を描くのではないでしょうか?
しかし『ぐりとぐら』では、余白がたくさんあるページばかりです。
もちろん手抜きではありません。
筆者は1歳の息子をはじめ、未就学児を対象に絵本を選ぶときのポイントのひとつに、文章の量に注目して選びます。
それは文字で説明されていない分、子どもがいくらでも想像、そして創造する力を養うことができるからです。
たとえば一枚の紙に赤い丸が描かれていたら、何を想像しますか?
「りんご」かもしれないし、「とまと」かもしれないし、「太陽」かもしれない。
いくらでも自分で考えることができますよね。
でももしその赤い丸のそばに「金魚」と書いてあれば、その赤い丸は「金魚」以外の何物でもなくなってしまうのです。
『ぐりとぐら』のこの余白にも同じことが言えます。
描いてしまえばそれでおしまい。
しかし描いていなければ、そこからいくらでも“なに”かを読み取ることができるのです。
あなたならどう読む?
ぼくらの なまえは ぐりと ぐら
このよで いちばん すきなのは
おりょうりすること たべること
ぐり ぐら ぐり ぐら
『ぐりとぐら』でかなり有名なこのフレーズ。
テンポのいい文章ですが、あなたならこのフレーズをどんな風に読みますか?
これも巧妙なテクニックのひとつで、このフレーズに対して「ここはこんな風に読んでみて!」という指示は一切ありません。
しかしこのテンポの良さに、自然とリズムを付けて読んでいる方も少なくないでしょう。
だからこそ、このフレーズも好きなように読んでいいのです。
十の家庭、十の保育園・幼稚園、十人の子どもがいれば、その数だけのリズムがあります。
そんな風にして、この『ぐりとぐら』は長年、多くの国・多くの人々に愛されてきました。
まとめ
いかがでしょうか?
多くの人に長く親しまれている『ぐりとぐら』のこれらのテクニックを知ると、より一層楽しめますよね!
「しばらく読んでないな……」という方も、ぜひ今一度手に取って、親子で楽しんでみてください!