インフルエンザって何?を基礎から解説+予防と薬の話
【PR】
12月が近づき本格的な冬の到来。気温もグッと寒くなり空気も乾燥してきました。この時期、季節性インフルエンザが流行してきます。学校・職場での予防接種やニュースなどインフルエンザの話題を耳にする機会も増えます。しかし、そもそもインフルエンザって何?と意外と知らないことも多くないですか?今回は、インフルエンザと抗インフルエンザ薬についてまとめてみました。
この記事の目次
インフルエンザって何?
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスによる感染症です。インフルエンザウイルスには A・B・Cと三つの型があり、ヒトに流行を起こすのはA・B型です。A型はヒト以外にもブタなどの哺乳類や鴨などの鳥類などに感染します。一方、B型の流行が確認されているのはヒトだけです。
インフルエンザの流行には季節性があり、一般的に12~3月に流行し、短期間で多くの人に感染が拡がります。例年の季節性インフルエンザの感染者数は国内で約1,000万人位となります。
インフルエンザの症状
咳・喉の痛みなどの呼吸器症状に加え、高熱・全身のだるさなどの全身症状が強く、関節痛・筋肉痛などの症状を伴うケースがあります。急性脳症(インフルエンザ脳症)や重症肺炎が伴うケースもあります。
インフルエンザが疑われる症状に気づいたら、できるだけ早く病院で診察を受ける必要があります。
インフルエンザと風邪の違い
インフルエンザと風邪はどう違うのでしょう。一般的に、風邪は様々なウイルスによって起こる病気です。その症状は喉の痛み、鼻汁、くしゃみ、咳などが中心で、強い全身症状は基本的にみられません。発熱もインフルエンザほど高熱とならず、重症化することはあまりありません。
一方、インフルエンザは喉の痛み、鼻汁、咳など風邪と同様の症状もみられますが、38℃以上の高熱、関節痛、筋肉痛、全身のだるさなど全身症状が現れる特徴があります。また、小児ではまれに急性脳症を、高齢者などでは肺炎を伴うなど、重症化することがあります。
重症化の危険性のあるハイリスクグループ
インフルエンザにかかると重症化しやすいといわれるハイリスクグループは以下の通りです。
・高齢(65歳以上)
・小児(5歳未満)
・妊娠中
・肥満
・基礎疾患がある
慢性呼吸器疾患(喘息など)
慢性心疾患(先天性心疾患など)
代謝性疾患(糖尿病など)
腎機能障害
免疫機能不全(ステロイド内服など)
インフルエンザの予防
インフルエンザの流行は主に冬。地域や学校などで起こります。予防接種すると、インフルエンザウイルスに対抗するための免疫を作ることができます。流行するインフルエンザを毎年予測し、予防接種のためのワクチンが作られます。予防接種でインフルエンザウイルスの感染を完全に予防することはできませんが、インフルエンザにかかる人や、重症化して入院する人を減らす効果が期待できます。
日本で使われているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンといって、ウイルスの感染力を無くして作ったものです。ワクチンには感染力がないので、予防接種によってインフルエンザを発症することはありません。
日常生活で出来るインフルエンザ予防方法
日常生活の中でインフルエンザを予防することも大切です。感染は、咳やくしゃみによる飛沫や接触によってウイルスが体内に入ることで起こります。そこで、普段からウイルスが体内に入るのを防ぐようにすることが大切です。
・しっかりと栄養と睡眠を取りましょう。
・帰宅したときなど、手洗いを心がけましょう。
・咳エチケットを行いましょう。
抗インフルエンザ薬について
インフルエンザは基本的には自然に治る病気であり、発症から48時間以降では抗インフルエンザ薬を飲んでも効果は期待できません。発症から48時間以内にお薬を飲んでも、インフルエンザの症状を「半日~1日」程度短縮する効果しかありません。お薬を使うことによる副作用の懸念や、お薬の効かないインフルエンザウイルスが出現する危険性もあるので、メリット・デメリットをよく考えて、お薬を使う必要があります。
海外では対症療法が一般的であり、世界保健機関や米国疾病管理センターでも「健常者では治療する必要はない」とされています。日本小児科学会のインフルエンザ治療指針も基本的には世界保健機関の指針と同じで、「抗インフルエンザ薬は必須ではない」とされています。
症状期間の短縮効果が「わずか半日~1日」なのか、「半日~1日もある」なのかは、とらえ方が異なってきます(忙しい受験生や会社員にとってはその短縮期間は大きな意味を持つかもしれません)。様々な事情を踏まえた上でのお薬の使用が重要です。
副作用(異常行動について)
タミフルで一時話題となった10代の異常行動については、厚生労働省の調査で因果関係は明確ではないとの判断となりました。経験的に、抗インフルエンザ薬内服有無にかかわらずインフルエンザでは異常行動が生じえます。このため、インフルエンザと診断されたら「発熱から少なくとも2日間は目を離さない」ように注意する必要があると思います。
まとめ
季節性インフルエンザとお薬についてまとめてみました。インフルエンザは基本的には治る病気ですし、お薬を飲んでも症状が1日程度短縮する程度の効果しかありません。何より予防がとても大切です。これから本番を迎えるインフルエンザの流行期に各ご家庭で備えて頂ければと思います。