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星野源の著作から見る、マルチな才能を育んだ楽しい家庭環境!

 2017/10/17 育児 子育て
この記事は約 10 分で読めます。

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今秋放送のドラマ「コウノドリ」で、四宮春樹役を演じている星野源さん。

昨年は自身が出演したドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の主題歌である

「恋」の作詞作曲も手掛け、大きな社会現象を起こしたことは

皆さんの記憶に鮮明に残っているのではないでしょうか。

 

星野源さんは、これらの活動の他にも6冊の本の著作や

『ダ・ヴィンチ』などの媒体で連載も持たれています。

(2017年10月現在)

 

役者・シンガーソングライター・作家、

このように様々な顔を持つ星野源さん。

 

そのマルチな才能を育んだ家庭環境について、

星野源さんの著作から探ってみました。

 

 

はじめからスターだったわけではない

 

 

こんなにも才能あふれる星野源さん。

さぞかし幼少期から輝かしい能力を開花させていたのかと思いきや・・・

 

つまらない家庭に生まれて、つまらない顔に生まれて、

つまらない性格に生まれて、つまらない一生を終えるんだと思っていた。

 星野源『そして生活はつづく』p24

 

ハワイに行った当時は小学生で社会生活に疲れ自閉していった時期であり、

海外を楽しむ余裕もまるでなかった。

星野源『蘇る変態』p32

 

20年前の14歳の頃、テレビの画面はとても眩しかった。

(中略)

まだインターネットも、携帯もなく、気軽に一緒に遊ぶ友達もいなかった。

部屋に戻ると待っていたのは、「何もない自分」だった。

星野源『いのちの車窓から』p109~110

 

1997年。長く学校を休んでいた。

理由はいろいろあった。とにかく精神的に参っていた。

星野源『いのちの車窓から』p102

 

10代から20代にかけて、いつも「ひとりぼっちだ」と思っていた。

そのたびに悲しい気持ちになり、周りにたくさんの人がいたにもかかわらず、

心はひねくれた。

 星野源『いのちの車窓から』p190

 

 

このように、己を苛む劣等感や無力感に苦しんでいたことが伺えます。

今の活躍からは、全く想像すらできない姿です。

 

しかし、決して腐りきらず、

後に、マルチな才能を持つ「星野源」として大ブレイクした

その根っこの部分は、子ども時代を過ごした家庭生活にあることが

エッセイに描写されている家族とのエピソードから読み取ることができました。

 

 

「星野源」を生み出した家庭環境

 

親が人生を楽しんでいる

 

小さい頃、家の中ではジャズのレコードがいつも回転し、

両親がタバコを吸っていた。

バーや、小さいライブスペースにもよく連れて行かれた。

星野源『いのちの車窓から』p79

 

(幼い頃、親に連れて行かれたバーやライブスペースでのエピソード)

父と母の会話や、その店に一緒に来ていた親の友人たちとの趣味の話や

車やコーヒー、ジャズシンガー、アニタ・オデイのアルバムについて、

海外の映画の話など、子供には分からない会話をこっそりと聞くのが

楽しかった。

 星野源『いのちの車窓から』p80

 

このように星野源さんは、子どもの頃から

ご両親が、自分の好きなことを思い切り楽しみ、

人生を謳歌している様子を見ながら育っています。

 

もし、親自身が「自分の好きなこと」を

「子どものために」やめてしまっていたら・・・

それを目の当たりにした子どもは、

 

好きなことは、いずれやめなければならない

「やるべきこと」をするためには「好き」を諦めなければならない

 

そんなふうに認識してしまうのではないでしょうか。

 

 

うちの両親は、コーヒーとジャズが大好きなんですが、

趣味が高じてついに最近ジャズ喫茶を開いてしまったんですよ

星野源・細野晴臣『地平線の相談』p87

※ご両親のお店は2016年に閉店

 

このように星野源さんのご両親は、子どもが大きくなってからも、

「自分たちの好きなこと」を大切にし続け、

しっかりと「形」にもしています。

 

「好きなこと」を大切にし、人生を楽しんでいる

そんなご両親の姿を見ながら育ったからこそ、

星野源さん本人も、どんな状況下でも「好きなこと」をあきらめず、

大切にしながら大人になることができたのではないでしょうか。

 

 

家の中が楽しい

 

私は小学校の頃、ちょっとしたいじめにあっていた。

それがきっかけで神経性の腹痛に悩まされ、そしてそれは今でも続いている。

だからその頃のことはあまり思い出さないようにしていた。

星野源『そして生活はつづく』p49

 

私も、いじめに遭った経験があるので、その辛さがよく分かります。

(詳しくはコチラの記事を参照)

 

いじめに遭ったのなら、大変な心の傷が残ってしまいそうなものですが・・・

 

俺、小さい頃の楽しい想いでは一つもないって思いこんでた時期があったんですよ。

小学校の頃ちょっといじめられてたりしてたから。

4・5年前に本当にそうだったか突き止めてみようと思って、

昔住んでたところを訪ねてみたら、

「ああ、そうだ。家の中が楽しかったんだ」と思いだしたんです。

それでちょっと楽になりました。

星野源・細野晴臣『地平線の相談』p24~25

 

このように意外にも「家の中が楽しかった」おかげで、

その心の傷が、思っていたよりもずっと浅かった、

ということが発覚するのです。

 

この「子どもの頃の楽しかったエピソード」について、

別のエッセイに詳しく掲載されていたのでご紹介します。

 

私が六歳の頃、父親が一枚の写真を見せてきたことがある。

それは見晴らしのいい公園で父が赤ちゃんの私をたかいたかいしている写真だった。

ちょうど一番高く上がっている瞬間を捉えた一枚で、

ゆえに私は父の手を離れて少しだけ宙に浮いていた。

それを見てようこちゃんはこう言ったのだ。

「源はね。このとき、宇宙から落ちてきたのよ」

「そうなの!?」

「そうなの。だから源は、宇宙から落ちてきた星の王子様なの」

「ねえお父さん、ほんと?」

「ああ、本当だ」

幼い私は、その話を思いきり信じた。

星野源『そして生活はつづく』p44~45

※「ようこちゃん」というのは、星野源さんのお母さんのことです

 

 

さらに八歳の頃、夕方に家でぼんやりテレビを観ていたら

外からトラックのエンジン音とともに拡声器から流れる

「たけや~、さおだけ~」という竿竹屋の呼び声が聞こえてきた、

するとようこちゃんはスッと立ち上がって言ったのだ。

「行かなきゃ」

え?と訊き返すと、ようこちゃんは私の肩を抱き

「ようこちゃんはね、実は『たけやさおだけ星』という星の王女なの」

と言った。もちろん信じた。

「そうなんだ!」

「迎えに来たみたい……帰らなきゃ」

「え、どういうこと?」

「さようなら!」

そう言い残してようこちゃんは出て行ってしまった。

(中略)

しかし一時間ほどして、

ようこちゃんはスーパー「マルエツ」のビニール袋をぶら下げて、

あっさり帰ってきた。

「ただいまー」

「……ようこちゃん!ようこちゃんが帰ってきた!」

「途中で宇宙船が壊れたから、スーパー寄って帰ってきちゃった」

その言葉を聞いて、私は飛び上がって喜んだのだった。

星野源『そして生活はつづく』p45~46

 

 

後にお母さんは、息子である星野源さんに

当時のことをこのように語っています。

 

「だって、学校行って帰ってくるたびに源の顔が暗くなっていくんだもん。

それを無理に頑張れって言うのも嫌だし、

だからせめて家の中では楽しくいてもらおうと思って、いろいろしたの」

星野源『そして生活はつづく』p50

 

「絶望」と反対の意味を持つ言葉は「希望」

そして「笑い」や「楽しさ」は、希望の象徴であると感じます。

 

家の中が「楽しさ」で溢れていたからこそ、

星野源さんは、いじめによって致命的な心の傷を負わずに済み、

自分らしさを失わず、伸びやかに育つことができたのではないでしょうか。

 

 

「好き」を大切にする

 

初めて自分の歌を作ったのは、たしか14歳だった。

親からのおさがりでもらったガットギターで、

古くびろびろに伸びたナイロン弦をそのままに、

音の少ない簡単なコードで歌い始めた。

星野源『いのちの車窓から』p26

 

高校生になり、カセットテープでアマチュア・レコーディングができる機材を

友人から借り、宅録を始めた。親が誕生日に買ってくれた

小さくチープなドラムセットに毛布やタオルケットをかぶせ、

音が近所に響かないように録音した。

星野源『いのちの車窓から』p26

 

このエピソードからも分かるように、

星野源さんのご両親は、息子が「やりたい!」ことを実現させるために

ガットギターをおさがりとして与えたり、

誕生日にドラムセットを買ってあげたり、

自宅で宅録をすることを許するなど、

理解と協力を惜しんでいないことが伺えます。

 

子どもが中・高生の時期、

親はどうしても、その後に控える「進学」のことを考えてしまい

 

「勉強しなさい」

「今は遊んでいる場合じゃないでしょ」

 

という言葉を放ってしまいがちだと思いますが、

星野源さんのご両親は、息子の「やりたいこと」を

しっかりと応援するスタンスを取っていました。

 

ご両親のこのような姿勢があったからこそ、

星野源さんは「好きなこと」に思い切り打ち込み、

その才能を伸ばすことができたのではないでしょうか。

 

学校の勉強を疎かにしてもいいと言うつもりは決してありませんが

好きなこと、夢中になれることに出会い、それに打ち込む、

という経験は、勉強と同じくらい大切で価値のあることのように感じます。

 

子どもの「好き」を大切にし、

「子どもの人生は本人のもの」とし、見守ること。

このことが大切なのではないかと感じました。

 

 

おわりに

 

星野源さんの著作から見る、マルチな才能を育んだ生育環境について、

私なりにまとめてみました。

 

楽しい家庭環境の中、親が「好きなこと」に打ち込む姿を見ながら、

そして自らも「好きなこと」に打ち込むことを許されて育ったからこそ、

星野源さんは、己を苛むコンプレックスに潰されることなく、

マルチな才能を存分に開花させることができたのではないかと感じます。

 

この記事を書いている最中、

私の脳裏に浮かんだのは、以前、記事にもさせていただいた

須藤弥勒ちゃんのことでした。

(須藤弥勒ちゃんの記事はコチラ)

 

養育環境の全てが重なるというわけではないですが、

「家の中が楽しい」「好きを大切にする」という点において、

弥勒ちゃんと星野源さんの家庭環境は、非常に似ているように感じられました。

 

最後になりますが、

私がこの記事を作成する際に参考にしたのは以下の著書です。

 

星野源

『そして生活はつづく』

『蘇える変態』

『地平線の相談』(細野晴臣さんとの共著・対談集)

『いのちの車窓から』

 

この4冊以外にも

 

『働く男』

『星野源 雑談集1』

 

という本も出版されています。

 

これらにはテレビでは窺い(うかが)知ることのできない様々なエピソードが紹介されており、

星野源さんの新たな魅力がたくさん綴られています。

興味を持たれた方は、ぜひ一度、手に取ってみてはいかがでしょうか?

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ライター紹介 ライター一覧

山中みさと

山中みさと

1981年生まれ、宮城県仙台市出身、千葉県在住。
2007年6月生まれの娘・2018年8月生まれの黒猫(男の子)の子育て真っ最中。
大学卒業後は出産まで図書館に司書として勤務。
結婚後は、子どもの幼稚園・小学校でPTA役員を経験。
教員免許(中高・国語)、司書資格、司書教諭資格を持つほか、
学生時代、塾講師のアルバイトの経験もあり。
趣味は、読書、アニメ。


10年近く育児をしてきた中で、
いいことだけではなく、困ってしまったこと、悩んだこと、
壁にぶつかったことなど、たくさんの経験をしてきました。

そんな私の経験を記事にし、
少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。
よろしくお願いいたします。

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